2011年07月12日

バンのいた日々10.

ねんねこりん


 お父さんが久しぶりに、お家に帰ってきました。下の妹弟は嬉しそうですが、お母さんとネェーネェー達は、少しよそよそしい感じがしました。少女はひとりで海に言った事を、誰かが父親に告げ口しないか不安でしたが、叱られる事はありませんでした。
 お父さんは居心地が悪そうでした。父親の存在感が少女の家で、だんだん薄くなってになっていくのを、彼女も感じとっていました。
 お母さんと赤ちゃんの弟に見送られて、お父さんと姉妹6人で、久しぶりのドライブに出ました。少女は海洋博を見たかったのですが、彼女たちを乗せた車は、反対の方向に走っていました。
 休日のみやげ物屋は、観光客でいっぱいです。お父さんは「何でも好きなものを買いなさい」と、言ってくれました。少女の瞳が輝きました。ネェーネェー達はシャツを、妹たちはおもちゃを買ってもらいました。彼女は大好きなアニメのタオルケットを買ってもらいました。
 少女はタオルケットに包まって、蓑虫のように寝るのが大好きでした。タオルケットを”ねんねこりん”と呼んで大事にしていました。
 彼女が父親と再会したのは、大人になってからでした。部屋のクローゼットの奥には、ボロ布のようなタオルケットが、捨てられずに眠っています。



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Posted by にーぶやー at 19:43│Comments(0)バンのいた日々
 
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